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 目次
1.プロローグ:デブールvsアッレグリ 〜イタリアダービー〜 2.ユーベを苦しめたハイプレスと、反抗するディバラ 3.FWが守備をしない5-3-2の辛さ 4.攻守のシステム変換の弱点、スペースへの意識が素晴らしい選手達 5.余談

 1.プロローグ:デブールvsアッレグリ 〜イタリアダービー〜
インテルのスタメンは、ハンダノヴィッチ、ムリージョ、ミランダ、ダンブロージオ、メデル、サントン、ジョアン、バネガ、カンドレーヴァ、イカルディ、エデル。 どうも近年調子が悪いインテル。フランクデブールが監督に就任した。ただしこの試合の前にはELの初戦で負けてしまい、非難に晒されている。よってこの試合には絶対に勝ちたいところだ。セビージャから移籍してきたバネガが早速トップ下でスタメンだ。残念ながら長友はベンチ。またペリシッチやヨヴェティッチなどもベンチにいる。

ユベントスのスタメンは、ブッフォン、ボヌッチ、リヒトシュタイナー、ベナティア、キエッリーニ、サンドロ、ピャニッチ、ケディラ、アサモア、ディバラ、マンジュキッチ。 先日扱ったセビージャとのCL戦から中3日でインテル戦という厳しい日程で臨むアッレグリ率いるユーベ。したがってローテーション起用となっている。バルザリ、アウベス、エヴラ、レミナ、イグアインがベンチにいる。ついでにピアツァと、戻ってきたクアドラードもベンチにいる。

 2.ユーベを苦しめるたハイプレスと、反抗するディバラ

インテルの守備はまずゾーン3、つまり前線からプレッシャーをかけていく。 intel_juve7

ボヌッチにはイカルディ、ベナティアにはエデル、キエッリーニにはカンドレーヴァを前に出していた。ピャニッチにはバネガがついていく。またWBにはSBがついていく。ただしブッフォンがボールを持っている時には各選手とも少し距離を置いていつでもいけるようにしていた。

で、ブッフォンから誰かにパスが出たら、ボールホルダーにマーカーがきつくプレッシャーをかけブッフォンにバックパスをさせる。その間に別の選手、例えばイカルディがボヌッチへのパスコースを消しながら、ブッフォンへプレッシャーをかけにいく。
これによりパスを出させるコースを絞ったり、ロングボールを蹴らせることに成功する。ちなみにムリージョがセンターラインを越えてでもディバラについていっていた。またSHが前にプレッシングにいくもかわされた場合は、バネガが下がって穴を埋めることがあった。

で、ビルドアップに困ったユベントス。ケディラやアサモアが順々に降りていき、ビルドアップを助けようとする動きを見せる。これに対して、ジョアンとメデルがついていく時とついていかない時がある。 intel_juve8

具体的には、ボールが逆サイドにある、もしくは逆サイドに移りそうな時には相手についていかなかったり、前線にパスコースを消してもらいながらプレッシャーをかけてもらったり、という感じでできれば前に出て行かずに、ユーベの速攻や前線のポストプレーに対して挟み込みを行えるようにしたい意図が見えた。ただしボールサイドであろうとアサモアについていくことはかなり少なかったが。

で、やっぱり困ったままのユベントス。そこでディバラが降りてきていて、エデルをピン留めする。これでベナティアにプレッシャーをかける担当がいない。なのでメデルが出て、バネガがケディラを見る。するとピャニッチとアサモアの2人をジョアンが左サイドに寄って見なければいけない、という形を作っていた。 intel_juve9

さらにリヒトシュタイナーがセンターラインあたりの高さにいるので、ケディラがCBとWBの間に侵入していく際に、サントンは見れず、バネガがついていく。 intel_juve10

すると、イカルディが下がらない限り、ピャニッチが空いてしまう。ジョアンが前に出ようとしていたが、その時にはディバラがジョアンの近くをうろついていたので判断が遅れてしまう。そしてピャニッチから展開していく、という形が見られた。

ディバラが右サイドでかなり降りてくる。バルザリとピャニッチがゆっくりとパス交換してるところの少し前まで降りてくる場面もあるほど。するとそこにエデル、メデルがおり、ジョアンも近づいてきて対応。ディバラはバルザリと数回パス交換する。 intel_juve11
いい加減奪いたと思ったメデルとジョアンが前に出てプレスをかけようとする。その瞬間にバックステップで3人の後ろにポジション取りし、バルザリはプレッシャーを受ける前にピャニッチにパス。ダイレクトでディバラに通す。 intel_juve12

ちなみにリヒトシュタイナーとケディラは前の方でサントンとムリージョをピン留めしていた。

っで、ハイプレスをいなされた場合のインテルはハーフラインからの守備に切り替えていく。 ディバラが降りてくるので、守備フォーメーションは4-1-4-1っぽい形になったり、4-2-3-1だったり。つまり中盤中央の三角形が、逆三角形になることで対応しようとしていた。で(逆)三角形を構成するジョアン、メデル、バネガは状況に応じて、ポジションを入れ替えていく。

で、そんなインテルの守備が1トップなのに対して、ユーベが3バックなので、両脇CBがフリーでボールを持ちやすくなる。したがってそこから展開していくことが多くなる。

で、ユーベのWBが中途半端な高さにいることで、インテルのSBの守備の基準点が高めにする。そのSB(とCB)の裏にインサイドハーフやFWが侵入していき、そこにボールが供給されることが多かった。 intel_juve13
この動きに対してインテルは、基本的には中盤についていかせたいのだが、中盤がついていけない時は、CBがサイドに釣りだされる形となり、ゴール前中央の守備陣を減らす。もちろんその分、ボランチの片方がDFラインに列を降りてくることでインテルも対応するので、そう簡単にゴールは割らせないぞ、と。

最も上手くいったパターンとして、SBの裏にマンジュキッチが流れてムリージョをつり出し、さらにリヒトシュタイナーがインナーラップしていき、ミランダまでサイドにつりだすことで、ゴール前をダンブロージオ1人にさせることもあったユベントス。ただしこの場面はファールになってしまうのだが危なかったインテル。 intel_juve14

また速攻時にディバラが右寄りの少し下がり気味のところで受けると、ムリージョが出てきた。ディバラは少しキープしてターンし、ムリージョを前に釣りだしたら、逆サイド深い位置に走って向かってるサンドロに絶妙なサイドチェンジ。サンドロは受けたらすぐにクロスをあげることで、ムリージョがいない分ドフリーだったケディラがヘディングシュート。あとは決めるだけだった。 intel_juve15

ちなみにこの場面、ムリージョは大急ぎで戻るも間に合わなかった。というかインテルの中盤がDFラインに入ってスペース埋めなきゃいけないでしょ、という感じだが。

そんな感じで、なんとかディバラの降りる動きなどを含めて、なんとかやりくりしようとするが、ビルドアップを中心にかなり苦労していたユベントス。

 3.FWが守備をしない5-3-2の辛さ
ユベントスの守備は、序盤こそゾーン3、つまり前線からプレッシャーをかけていたが、その後はプレッシャーをかけていくこともあれば、かけていかないこともあった。いずれにせよマンジュキッチとディバラでCBに対応。基本的にはSBにはインサイドハーフが前に出ていくことで対応していた。

対するインテルのビルドアップ。ユーベのインサイドハーフは中央から動き出すため、インテルのSBには少し時間的余裕がある。よって特にダンブロージオからWBとCBの間付近へフィードをすることが多かった。ここでイカルディやカントレーヴァに競り合ってもらい、ジョアンやバネガにセカンドボールを拾ってもらうという設計だったのだろう。ただしどちらかというとユベントスボールになってしまうことが多かった。 intel_juve16

ちなみにハイプレスを嫌がる場面もあったインテルは、ビルドアップ時にボールサイドのボランチを前に残すことでユーベのインサイドハーフをピン留め。これによりSBがボールを持った時に、ユーベはWBを前に出さざるを得なくなる。そしてWBの裏に、エデルが開いてボールを受けようとする、みたいな場面が見られた。 intel_juve17
しかしそれでもインサイドハーフが出てくるようなら、SHが高い位置をとることでWBをピン留め。インサイドハーフとWBのライン間のスペースが大きくなるのでそこでメデルが受けるので、ピャニッチとリヒトがあわてて出てくる場面も見られていた。

またインテルのビルドアップでは、バネガが頻繁にボランチの位置に降りてきていた。降りていくバネガにはピャニッチがついていくことで対応していたが、あまりに降りていきすぎる場合には5-3-2の守備の3のラインから、あまり前に出過ぎないようには意識していたようだった。

ただし前半、なぜかユーベの2トップはそこまで守備に熱心でなかった。これにより、中盤の3人で守るのはちょっときつい、という場面が多々見られてしまう。というか、3人の連携も少しいまいちだったように思う。 例えば1つあったシーンでいうと。インテルのSBが高めの位置で横幅をとり、横の大きく開いたCBが、2トップ脇でボール保持。2トップがあまり守備をしないし、SBが高い位置にいるのでそれはWBに任せ、ボールホルダーにケディラが出ざるを得なくなる。その動きによってできたライン間のスペースでジョアンがパスを受ける。するとピャニッチが出てくるんだけど、中に入ってたエデルが右側で受けにくる。ここでアサモアが寄ってきていないので、エデルがフリーでボールを持ててしまってシュートに。ベナティアが前に出たが間に合いきっておらず危なかった。ちなみにこの時に無理して前に出たからか、ベナティアは怪我をしてしまうのだが。 intel_juve18

そんなこんなで3センターの中盤のカバーする範囲が広すぎる。したがってバネガやジョアンやエデルは、3センターが動くことによってできたスペースに入りこんだり、3センターの視野外で動くことにより、時間とスペースを確保できる位置にポジショニングできることが多発していた。

ちなみにイカルディはよく走るだけでなく、ボヌッチとバルザリをものともしない体の強さを見せる場面があった。

 4.攻守のシステム変換の弱点、スペースへの意識が素晴らしい選手達
後半、ユベントスは守備時のフォーメーションを4-4-1-1に変更する。そしてディバラの守備意識が前半より明らかに高まっていた。
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この変更の意図は、インテルのSBに対して中央からインサイドハーフが出ていかなければいけないことで、SBに余裕を与えてしまっていたこと、2トップが守備をしないことで3センターでは上手く守れていなかったこと、などを改善したかったのだろう。

これにより序盤、ボールを失ったインテルがハイプレスをかける時、少し前からプレスをかけているタイミングで、高い位置をとるサンドロをダンブロージオが見る。するとサイドにいるアサモアをカントレーヴァが見るの?ジョアンが見るの?みたいなに誰が見るのか曖昧となってしまい、フリーになったアサモアにボヌッチから楔のパスが通り前を向ける場面が見られた。

で、攻撃時のユーベのフォーメーションは3-5-2から変更はなかった。 そんなユベントスが先制する。アサモアがまずダンブロージオを強い体でいなして高い位置にいるサンドロへパス。そのサンドロへもマークにいくダンブロージオ。するとサンドロも体の強さを活かしてダンブロージオをかわしてしまう。 その頃、逆サイドの大外でリヒトシュタイナー、サントンの視野外でスルスルっとゴール前に動きはじめて、「クロスがくる!」と思った瞬間にサントンの前に飛び出し、ゴール。 intel_juve19

ボールサイドで深くえぐられた時というのは、守備陣からするとどうしても逆サイドを視野から外さざるを得なくなってしまうことが多い。この先制点は、高い位置にいる大外WBから、逆サイド大外WBが中にダイアゴナルランでゴール前に侵入していくことの高い攻撃力を表現していた象徴的な場面だった。 先日の日本代表vsタイ代表戦で、酒井高徳がゴール前に少しだけ侵入していくことがあったが、増やしてほしいなと思った。

しかしメリットがあればデメリットもある。サンドロは攻撃時にWBであることから高い位置でウイングのように振る舞う必要も出てくる。しかし守備時にはSBなので、DFラインに加わることが求められる。 intel_juve20

で、攻撃時は3-5-2、守備時は4-4-1-1のユベントス。つまりユベントスがボールを奪取されると、サンドロは大急ぎで戻らなければいけない。しかし高い位置からそんなすぐには戻れないよね。ということで、インテルはカウンター時に、右サイドの空いたスペースを中心に攻めていく。3-5-2から4-4-1-1へのシステム変換にかかる時間を活用してゴールに迫っていくインテル。

で、後半のインテルのセットオフェンス。ビルドアップ時にメデルが降りて4-1の形になることもあれば、SBが高い位置をとれる時には2-1、たまにジョアンがCBに降りて3-1になるなど。つまり流動的な形をとることで、ユベントスの前線からのプレッシャーを牽制する。そしてバネガが頻繁に降りたり自由に振る舞うので、そのバネガが空けたスペースにジョアンやエデルが入っていく。

ちなみにジョアン。味方が動いた時にそのマーカーがついていくことでできるスペースにすっと入り込むことを非常に得意としていた。これにより時間とスペースを確保して、ボールを受けていた。 またそもそもけっこう動き回りもする。SBの(少し前の)位置に動いてフリーで受けて、ケディラを前に引きつけてからメデルにパスするなど、自ら時間とスペースを確保し、味方にそれらを供給する様は非常に良かった。パッと見、体の強そうな印象を受ける選手だが、こういう知的な面が見られて印象が良い。

もちろんそういったスペースへの意識は他の選手にもある。ジョアンだけでなく、バネガ、エデル、イカルディあたりはそのあたりの連携がしっかり取れていた。いくつか例を挙げると、

バネガが下がることでスペースができる。エデルがそこに入って、受けるフリをし、裏を狙い始める。バルザリもだが、ボヌッチも少し下がり始める。その瞬間にイカルディがその空いたスペースに降りてくる。ボヌッチが慌ててまた前に出るみたいな。前後に揺さぶられるボヌッチ。 intel_juve21

バネガやジョアンは、DFラインやメデルがパス回ししてる時に、ユーベの前にあたりにいく選手の後ろのスペースが空くので、そこで受けることを狙っていた。 ちなみにDFラインの選手がそういったバネガに迎撃に行けないように、エデルが同時に裏を狙っていたりして、DFラインを下げて、さらにスペースを広げる役目を果たしていたことも見逃せない。 intel_juve22

そんなこんなでホームなので負けられないインテルは、コーナーキックからイカルディが決めて同点とする。さらにイカルディのお洒落なアウトサイドキッククロスから、泣く子も黙るペリシッチが決めて逆転。

残り時間、イグアインも投入したユベントスが攻め込むも、2-1でインテルの勝利となった。

 5.余談
お互いOBがスタンドに試合観戦に来ている様子を映されていたが、ネドベドは相変わらずの髪型と髪色なのでわかりやすかった。またディエゴミリートがかっこよかった。

っで、インテル。意外に印象が良かった。しかし結果が出ているかどうかが微妙なところが少し謎だ。そして長友はスタメンに返り咲くことができるのだろうか。日本代表のためにもなんとか頑張ってほしい。

ユーベは、2トップがほぼ守備をしない5-3は少しきつい場面が出てくるだろうなと、特に強豪相手の場合。セビージャ戦のディバラはけっこう守備をしていたので、この試合の前半でディバラが守備をしなかったことは少し謎だった。

最後に試合の中で気になった場面の動画tweetのリンクを3つ貼っておく。
一気にマンジュキッチに通してしまうボヌッチの楔のパス。

ディバラがムリージョを前に釣りだして一気に逆サイドの深い位置へサイドチェンジ。サンドロはすぐにクロス。ムリージョが戻ってこないために空いてるスペースにケディラが入ってきてヘディング。あとは決めるだけ。

激突してくるキエッリーニをなぎ倒すイカルディの強さ。ちなみにこの後すぐシュート打つもポストに当たって惜しくも決められず。


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