ボルシアMGはブンデスで2シーズン前は3位、昨シーズンは4位となかなか良い位置にいてそこそこ強いチームのはず。しかしペップシティの独壇場となった試合だった。いかにしてシティはボルシアMGを手の平で転がしてしまったのだろうか。

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 目次 1.プロローグ:絶賛好調中ペップシティのCL挑戦が開始する 2.シティのハイプレスルールと、ボール奪取の仕組み 3.ハイプレスに対抗する、何段階にも準備されたシティのビルドアップ 4.ギュンドアンとアグエロの繰り返し見られたプレーとは 5.余談

 1.プロローグ:絶賛好調中ペップシティのCL挑戦が開始する
シティのスタメンは、ブラボ、コラロフ、ストーンズ、オタメンディ、サパレタ、フェルナンジーニョ、ギュンドアン、デブライネ、スターリング、アグエロ、ナバス。
先日記事にしたユナイテッド戦にも勝利し、絶賛絶好調中のシティ。ペップ・グアルディオラはリーグ戦に飽き足らず、CL制覇も目論んでいることだろう。CLのグループCにはバルセロナがおり、勝敗が読めないので、残りのボルシアMGとセルティックには絶対勝っておきたいところだろう。

ボルシアMGのスタメンは、ゾマー、トビアス、クリステンセン、ニコ、モハメド、クラマー、オスカル、ジョンソン、ラファエル、アンドレ、ラース。 スイス代表のジャカがアーセナルに移籍してしまい、代わりではないが、ドイツ代表のクラマーを獲得している。 ちなみにCL予選のプレーオフでは、五輪に出れなかった久保がいるヤングボーイズに2戦合計9-2で勝ち、グループリーグに上がってきた。

 2.シティのハイプレスルールと、ボール奪取の仕組み

 

ボルシアMGの攻撃時のフォーメーションは3-5-2。対するシティの守備はまずゾーン3、つまり前線からハイプレスをかけていき、ビルドアップを破壊してボール奪取し、カウンターを繰り出すことを第一の狙いとしていた。要はいつも通りだ。

ただしボルシアMG3バック。そんな3バックに対してプレッシャーをかけるために、アグエロに加え、スターリングとナバス(時々デブライネ)を前に出すことで人についていた。そして2ボランチにはギュンドアンとデブライネ(時々ナバス)がつく。 manc_bmg2
WBには基本的にSBがついていくが、WBがかなり下がっていく場合やWBより高めのサイドの位置にトップ下などの選手がいる場合には、SBはWBについていかず、その分を前線の選手がパスコースを1つ分消してプレスすることで対応していた。 manc_bmg3
特に中央に出させないように意識しており、まずどちらかのサイドに誘導する。そして逆サイドのマークは緩めて、ボールサイドに人を密集させながらプレッシャーをかけることでボール奪取を狙っていた。

このハイプレスにたじたじとなるボルシアMGは、何度もボール奪取される。

っで、落ち着いてビルドアップできないよ、ということでGKなどがフィードをする。その際、ボルシアMGの前線の選手もフィードを受けるために降りていく動きを見せる。ただしポストプレーを行う選手の周りの選手達はあまり連動できていなかった。 むしろシティの中盤の選手が、ボールが落下するまでの間に、落下地点の近くにできるだけ戻ることで、セカンドボールを繰り返し拾うことに成功していた。 manc_bmg4

でもそりゃたまには前線にボール運んでいけることもあるよね、ということで、そんな時のシティはハーフラインからの守備に切り替える。 ただしボルシアMGがCBにバックパスしたり、バックパスがずれようものなら、再度ハイプレスに切り替えていく。特にナバスはめちゃめちゃ走ってプレスをかける意欲を感じた。

で、ボルシアMGの攻撃のかじ取り役はモハメドであるように見えた。モハメドがサイドに寄って人数を集め、WBに時間とスペースを提供することを狙う。そこで崩せそうならそのまま崩し、崩せなさそうならCBなどに一旦戻す。 ただしCBに戻すとハイプレスを受けるので、たじたじになるボルシアMGのCB。しかしハイプレスさせた直後のまだプレッシャーが緩い時に、すぐさま8番が空いてるスペースにポジショニングするようになっていく。 manc_bmg5

例えばデブライネがバックパスを受けたトビアスにプレスをかけにいこうとした直後なんかは、デブライネのいたエリアが空くので、そのエリアに移動してパスを受ける。 撤退守備からハイプレスに切り替える瞬間というのは、周りが連動しきれないことも多く、やはり少し時間的に余裕があるので、パスを受けたモハメドにボール奪取できるほどのプレスをかけられない。したがってフェルナンジーニョが前に出てきて、再度ハーフラインからの守備に。 となるとボールサイドで崩すのはやはり難しい。ただし逆サイドのWBがフリーとなりやすいので、サイドチェンジして前線に迫っていこうとしていた。

ただし、シティもしっかり守備をしてくるので、そこからでもあまり効果的な攻撃に結びつけることはできていなかった。

 3.ハイプレスに対抗する、何段階にも準備されたシティのビルドアップ
一方シティの攻撃。ビルドアップでは、サパレタが右ボランチの位置に入って、オタメンディが右に大きく開く形をとる。サパレタやフェルナンジーニョは2トップ間や2トップ脇などにポジショニングすることで2トップのプレッシャーを牽制することを狙う。

対するボルシアMGの守備はゾーン3、つまり前線からプレッシャーをかけていく。その際、しっかりと人につくように意識されていた。ただし足下に定評があるブラボがボールを持った時にはプレッシャーをかけないようにしていた。

これにより、ブラボが4バックのCB的なところに入って6対5状態でフリーな状況ができるが、さあどうしようか…って場面がけっこうあった。 manc_bmg7
すると前線の選手が降りてきて受ける動きを見せる。 manc_bmg8

例えばスターリングが降りてきたとする。当然スターリングにも人はついてくるのと、例えばアンドレがプレスバックして挟み込んでのボール奪取を狙いにくる。想定済みのスターリングは、アンドレを引きつけてから、すぐにストーンズにバックパスをする。

するとアンドレはすぐにストーンズにプレスをかけにいけない。つまりストーンズには時間とスペースができる。するとこれではいけないと、オスカルが出てくる。 manc_bmg9

ここでストーンズは複数の選択肢を匂わせることで、どのパスコースを消せばいいのかとプレッシングを迷わせて隙を作らせる。こうしてパスコースを作りだし、ビルドアップを成功に導いていく。そういった場面が幾度も見られた。

またDF陣とアンカーの選手達によってお互いのポジションを変更する場面もやはり見られた。例えばオタメンディがボランチの位置に入り、サパレタが通常通り右SBの位置にいることもあったし、なんだったらオタメンディがボランチの位置にいるサパレタよりさらに右前にいることもあった。 もう試合の終盤なんて、サパレタとストーンズがボランチ2枚の位置、フェルナンジーニョが右CB、コラロフがCB真ん中、フェルナンジーニョの前にオタメンディってなってたりして、一体なんだこれは、と。 manc_bmg10

人につく守備に対して、このようにポジションチェンジすることは、相手に迷いを与え、誰が誰にマークするかを曖昧なものとさせ得る。しかも上図の形なんていうのはポジションチェンジしただけでなく左右非対称にもなっている。そのため、より守備の基準点は曖昧になるだろう。 実際、ブラボからサパレタへのパスコースをラースが消してるのに、サパレタにつく別の選手(ジョンソンなど)がいて、フェルナンジーニョをあけてしまっており、そこから普通にビルドアップしたり、みたいなマークのミスが幾度も見られた。その最中にボルシアMGの選手達も、「おいそっち空いてるぞ!」みたいに指さしたりジェスチャーをしていたが、間に合っていなかった。 manc_bmg11

ただしもちろんボルシアMGのハイプレスに苦労することもあり、シティも無理はしないので、ブラボがゴールキックすることもけっこうあった。 そんなシティの前線にはあまりハイボールに強い選手はいない。ただし、けっこうマイボールにできていた。

というのも、ゴールキックに限らず、後方から長めのキックが飛んでいく時には、競り合いするところ(落下地点)の前に、必ず近くの誰かが急いで移動する。競り合う選手は勝てる確率は低いけど、簡単にボールに触らせはしないことで、ボルシアMGの選手もなんとか前にヘディングせざるを得ない。 manc_bmg12

そんな風にすることで、競り合いには負けてもヘディングする方向を前に制限する、そしてボールが転がってくるところに味方を配置して、マイボールにできる確率を高めていた。

 4.ギュンドアンとアグエロの繰り返し見られたプレーとは
ビルドアップが成功したとする。例えばセンターサークルでボールを持つと、前線の3人が一気に走りだす。 そこでスルーパスのコースを消したいんだけど、消す前にさっさとスルーパスを出しちゃう。特にギュンドアンは何度もスルーパスを出して起点となっていた。ギュンドアンは半身で受けて前を向けたり、ターンでさっと前を向けるので早い判断ができる。

またアグエロのスペースを意識した動きも見逃せない。スターリングやコラロフなどが下がって、WBがついていくと、すかさずWBがいるサイドに流れて、ボールを受ける準備をしていた。ラファエルは前に出るので、アグエロにプレスバックが間に合わない。 manc_bmg13

他にもギュンドアンやデブライネが少しサイドに流れて、相手ボランチがついてきたら、相手ボランチが空けたスペースにアグエロが降りてきて、繋いでいく場面もあった。これもボランチはすぐにはアグエロにプレスバックしづらい。 つまり、味方の動きと相手の動きを見て、プレスバックを受けずに済みそうな位置に流れたり、降りてきたりというのを意識していた。だからボルシアMGはボールを奪えない。

で、アグエロにグラウンダーで縦パスが入ってくる時は、必ず少なくとも誰かがすぐに1人近寄って、背後からプレッシャーを受けるアグエロがダイレクトでパスできるよう助け、受けた選手がすぐに、前線に走りこんでる別の選手に展開する、ということが頻繁に見られた。 manc_bmg14

そんな感じでシティはボールを失わず、前への推進力を失わないような仕組みがチームにしっかりと浸透していた。っで、何度も何度も決定機を迎えていくシティは前半でアグエロが2点を決める。

一応ボルシアMGも、速攻や、プレスがはまってショートカウンターをできる時もある。シティが常に前から守備をするので、ちょっと繋がれば速攻できるのだけど、チャンスになりそうな気配が一向にしない。シティのDFラインとアンカーをはじめとした守備陣の読みと堅さが素晴らしかった。

っで、前半途中で2-0にされたことで、ボルシアMGは前半終盤あたりからハイプレスにいく人数が5人から3人ぐらいに減って、下がり目で守備をするようになる。

したがってビルドアップは当然できるし、ボールを回したい放題のシティという状態が続いていく。そんなこんなで、後半にアグエロが3点目を決めてハットトリック、最後にはイヘアナチョが決めて4-0で試合を終了させた。

 5.余談 正直、よく4-0でよく終わったなという印象だ。つまり、もっと大差がついてもおかしくないぐらいに、普段ならゴールになってそうな決定機の数が多かったシティ。
また3-0になり、もう回したい放題で遊んでるような試合展開でさえも、ハイプレスは最後までやめないんだからえげつないシティ。この時間も実践的守備練習として活用せよ、というペップの声が聞こえた気がした。

ギュンドアンは速攻の起点として非常に機能していた。今後、強豪との試合でどうなるか見てみるのが楽しみだ。 ちなみにブラボは特に後半、ボールをキャッチしたら、すぐにおもいっきり前線に投げることで、何度も速攻の起点にもなっていて、足下がうまいだけじゃないんだぞ、というアピールが見えた。

ボルシアMGはもうちょっとやってくれるかと思ったが、シティにはちょっとなす術もない感じだった。切り替えていくしかない。

最後に試合で気になった場面の動画を貼り付けたtweetのURLを載せときます。
フェルナンジーニョの綺麗なスルーパスが、スペース大好きデブライネに通って一気にチャンスに。

ブラボ曰く、「俺もフィールドプレーヤーの1人なんや!」



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